ロシア人のイオ・パヴェルさんという方をご存知でしょうか?彼は現在日本の伝統楽器である尺八の奏者として活躍しています。日本人でさえとっつきにくいイメージがある尺八に何故彼が興味を抱き、そしてプロになろうとしたのか?
実は現在ロシアでは日本の古典音楽が人気だそうです。意外ですね。そんなわけで今回はイオ・パヴェルのプロフィールや、講演料、何故日本に興味を持ったのかなどをチェックしていきたいと思います。
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イオ・パヴェルのプロフィール
ロシアのモスクワ出身であるイオ・パヴェルさん、尺八との出会いは1本の映画がきっかけでした。Barakaというドキュメンタリー映画のオープニングに使われた音楽の音色や音の雰囲気が素晴らしいと感じたそうで、調べてみると、それが尺八でした。すぐに知合いに頼んで尺八を手にしたイオさん。元々音楽を習っていたことですぐに音は出せ、その後は段々と尺八の魅力に取りつかれていったそうです。
11月4日はJean-Michel Veillonさんの京都でのワークショップでした。
ジャンさんのブルターニュ音楽のお話と実演に続いて尺八の石川利光先生の尺八実演とお話。参加者もプラスチック製の尺八を体験しました。最後はフルートの受講生に具体的な演奏テクニックを教えて頂きました。 pic.twitter.com/jNL8uFTrdb
— ケルトの笛 hatao (@hatao_flute) November 4, 2018
2013年、18歳で来日し、岡山県倉敷市に住み、尺八の師匠石川利光さんの下で尺八を学びます。その後、コンクールで結果を出し、2017年には東京藝術大学の大学院に入学。映画で尺八の存在に気が付かなかったら、おそらく日本には来ていなかったであろうイオさん。まさに出会いは縁と言えるでしょう。
※ツイッターの画像は石川さんがワークショップを行っている時の様子です。
ロシアでは日本の古典音楽が人気ってホント?
日本に来るまではモスクワにおける尺八の第一人者だったという、イオ・パヴェルさん。実はロシアでは今、日本の古典音楽への熱が高まっています。1999年からモスクワ音楽院で開催されている「日本の心」では、古典音楽のコンサートがなどが開催され、尺八なども聞けます。
音楽以外のイベント
また音楽に限らずロシアでは日本に関するイベントが多数開催され、それなりに人を集めているそうですよ。少々長くなりますが、以下に日本文化の浸透ぶりがうかがえる動画をご紹介しましょう。
お祭り
下の動画のイベントには9万人もの人々があつまり盆踊りなどを楽しんでいたそうです。
こちらは日本語が喋れるロシア人ユーチューバーが祭りの様子を伝えてくれている動画です。
日本車
日本車も相当人気のようで、下の動画は日本車のイベントの様子。2016年の時点で11目という事なので、2005年から開催されていた事になりますね。
さらにドリフト文化も人気のようで。
コスプレ
HINODE POWER JAPANという日本のサブ・ポップカルチャーを中心に伝えているイベントも開催されています。
囲碁・麻雀
囲碁、麻雀なども人気です。
日本文学
日本文学ではやはりというか、村上春樹が人気だそうです。その他は大江健三郎とか安倍公房、三島由紀夫あたりの定番作家が続くそうです。
ごみ処理
こちらはおまけですが、日本のごみ処理の様子を視察に来たロシアの政府機関の職員や民間企業の経営者たち。
近くて遠い国と言われているロシアといわれるだけあって、これほどまでに日本文化が浸透している事はあまり知られていませんが、このようにロシアでは多くの日本に関する文化イベントが開催されているといった事情を考えれば、パヴェルさんが何故尺八に惹かれたのかも納得できるでしょう。
単純に日本文化に触れる機会が多かったと言えばそれまででしょうけれども。
アレクサンドルイヴァンシン
話を元に戻して…
パヴェルさん以外にもロシアでは多くの人が尺八に魅了されているようなのですが、そのうちの一人アレクサンドル・イヴァシンさんも、すでに免状を得るなど、お墨付きを得た尺八奏者の1人です。
当初はプラスチックの尺八しかなく、しかもみんな尺八をやりたがったために練習時間を確保できなかったというアレクサンドルさん。しかも、ロシアに尺八専門の先生はいないため、YouTubeが頼りだったとのこと。アレクサンドルさんは、正しい学び方ではないと語ります。このように尺八に限らず、様々な日本の古典音楽にハマっていくモスクワの若者たち。20年間続く古典音楽のイベントの成果が着実に出ていると言えそうです。
イオ・パヴェルさんの演奏料金っていくら?
18歳から日本にやってきて、2017年から東京藝術大学で本格的に尺八を学ぶイオ・パヴェルさん。彼を呼ぶにはいくらかかるかを調べたところ、オファー料金は5万円からとなっており、国内だけでなく海外にも出張してくれるそうです。
以前はギャラのことを口にすれば嫌な顔をされたという尺八の世界。時代が進み、演奏料金も明確化され、イオさんのように5万円から演奏すると公言する人も出始めています。いずれ東京藝術大学を卒業すればプロとして舞台に立つようになるでしょうが、いくらまで上がるのか、そこにも注目です。
まとめ
イオ・パヴェルさんは2019年8月12日にTBSで放送される「メイドインジャパン」に出演します。番組の内容は、体の悪い義理の父のためにシャワートイレを持ち帰るといった話だそうで、見どころは母と再婚した義理の父親との溝を埋められるかどうかという点でしょう。
18歳の時に義理の父と打ち解けられずに日本に行き、それから数年が経過。日本では尺八に全力投球し、その結果を両親の目の前で尺八を披露し、どのような反応が返ってくるのか、気になるところですね。
日本にやってきて着実に夢をつかもうとしているイオ・パヴェルさん。モスクワには尺八を学びたい多くの若者がひしめいており、パイオニアとしてどこまで道を切り拓けるのか、注目です。