老いて尚なんとやら。
世の中には少子高齢化をものともせずに元気に活躍しているご老体は数多くいらっしゃいますが、牧阿佐美(まきあさみ)さんもその一人。
今年で御年83歳とか。
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正直彼女の事は今日はじめて知ったのですが、今回はそんな彼女のプロフィールを調べてみたいと思います。
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名前 | 牧阿佐美(まきあさみ) |
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生年月日 | 1933年5月12日 83歳(2016年6月現在) |
出身 | 東京都 |
職業 | バレリーナ・振付師・舞踏家 |
1933年といえば満州事変が集結した年にあたり、昭和でいうところの8年。つまり昭和一桁生まれで、あの銭形警部と同年代の人間というわけですね。
日本はその後日中戦争~太平洋戦争へと突き進んでいくのですが、そんな激動の時代に何故バレエを?と思ったのですが、実は彼女の母親もバレエをやっていて、母親にバレエを指導された事がバレリーナ、そして指導者としての道を歩むきっかけとなったようでした。
父は牧幹夫(まきみきお)
http://www.chacott-jp.com/より
左から橘秋子、エリコ、牧幹夫
母は橘秋子(たちばなあきこ)
http://salida1.web.fc2.com/より
ともにバレエダンサーです。
大正から昭和初期にかけてバレエをやっていた人がいたなんて私は今初めて知りましたが、母親の橘さんは1930年代(当時23歳)にロシア人のバレエダンサーであるエリアナ・パヴロワ
http://blogs.yahoo.co.jp/julywind727より
に学んだという事ですからおそらく彼女らの世代が日本バレエ界における草創期にあたるのでしょうね。
その後1933年に独立して橘バレヱ学校を設立して後進の育成に励みます。
ちょっと寄り道になってしまいますが、エリアナ・パヴロワさんについて調べていたらその経歴がこれまた数奇なものだったので簡単に説明してみたいと思います。
エリアナさんは白系ロシア人であり元ロシア帝国の貴族の娘。1899年に当時の首都であるサンクトペテルブルクに生まれました。
しかしロシア革命により国を追われ、1920年に日本へ入国。当時の日本は大正時代。大正ロマンなんて言葉が流行していたぐらいなので、彼女の存在はとても奇異なものだったのではないでしょうか。入国した翌年には、なんとサイレント映画の「君よしらずや」の主演に抜擢されていたという事ですから当時からかなりの注目を集めていたのでしょう。
1937年に日本に帰化し、日本名を霧島エリ子とし、横浜や鎌倉でバレエを教え、「日本バレエの母」と呼ばれたそうです。
http://www.turning-japanese.info/より
1941年、日本軍の慰問に訪れた南京で死去。42歳の若さでした。現在は靖国神社に祀られているという事です。詳しい死因はわかりませんでしたが、傷を負っての病死という記述も見当たりましたのでひょっとしたら戦禍に巻き込まれたのかもしれません。
実に数奇な運命ですね。貴族の娘に生まれて、10代の頃にロシア革命により国を追われ、20歳で日本へ亡命帰化。その後関東大震災で被災、バレエ教室を開いて最後に中国で眠りについて靖国神社に祀られたという…
経歴だけみてもなんだか泣けてきてしまいす。
そしてそんなエリアナさんの孫弟子にあたるのが牧阿佐美さんというわけです。
エリアナ・パヴロワさんについて詳しく知りたい方はアマゾンで彼女の伝記が見つかったのでチェックしてみてください。
すんません、続きです。
阿佐美さんはそんな母親に幼少時からバレエを仕込まれ、1954年にアメリカへバレエ留学。師匠はアレクサンドラ・ダニロワとイゴール・シュヴェッツォフ。
帰国後、1956年に牧阿佐美バレエ団を結成し現在に至ります。
主な弟子としては、現在NHK大河ドラマ真田丸で真田昌幸エキセントリックな役を演じている草刈正雄さんの娘の草刈民代さんなんかもいらっしゃいます。
そして現在もなお、2012年に開講した牧阿佐美バレエ塾にて後進の育成に励んでいるようです。
主任教師は森田健太郎さんで塾長が牧阿佐美さん。会長は盛田正明さんという方です。
この塾は牧さんが世界レベルのダンサーを育てたいとの思いから設立されたようで、いわば彼女のバレエ人生の集大成ともいえるような塾です。
少数精鋭の塾らしく、入塾するのにもオーディションが必要だといいますから、世界的なダンサーを目指している人は一考の価値がありそうです。
入塾資格は15歳以上。
授業料は実技・座学で242万円(2年間)
実技のみ1ヶ月8万円(1年・2年コースともに)
おいそれと出せる金額ではないですが、本気でプロを目指している方は選択肢の一つとして考えてみてください。
http://am-juku.atmf.or.jp/
場所は
〒151-0063 東京都渋谷区富ヶ谷2—14—15
という事ですが、こちらは母親が設立した橘バレエ学校の校舎を利用して指導しているようです。
旦那は元バレエダンサーの三谷恭三(みたにきょうぞう)さん66歳。6歳からバレエを初めて谷桃子(グラビアアイドルじゃないほう)バレエ団へ入団したという生粋のバレエダンサーですね。
http://kyozo-mitani.jp/より
1984年に結婚。三谷さん当時34歳で牧さんは51歳という事になります。おこさんはいらっしゃらないようですね。
1994年には牧阿佐美バレヱ団の総監督に就任しており現在も元気で活躍しているようです。
とまあ、人に歴史ありで関係者全員バレエ漬け。バレエは技法より誰に習うかが重要といわれているそうなので、それを考えるとエリアナ・パヴロワにはじまるロシア帝国のバレエの血脈は以後も日本の地で流れ続けるのかもしれないですね。
なんとロマンチックな。
以上牧阿佐美さんについてでした。