3月27日の世界選手権の決勝でスイスに6-9で敗れて惜しくも銀メダルに終わってしまったカーリング女子の日本代表LS北見。
しかしカーリング世界選手権において日本初のメダル獲得となったので結果としては十分なのではないでしょうか
今回は見事銀メダルに輝いたLS北見のメンバーや結成のいきさつ等についてあれこれと調査してみました。
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チームLS北見が誕生したのは2010年7月。元チーム青森の本橋麻里(もとはしまり)さんが中心となって結成されました。
http://www.sanspo.com/より
チーム青森といえば当時随分と話題になったのを覚えている人も多いのではないですかね。クリスタルジャパンというニックネームがあったらしいですが、私は当時そんな名前を聞いた覚えがありません。いや、チラッとだけあるかな?
それはともかく本橋さん加入後のチーム青森の主な国際大会の戦績は以下の通り。
・2005年11月–トリノ冬季オリンピック出場-7位(19歳)
・2006年1月-冬季ユニバーシアードトリノ大会-3位
・2007年3月-第29回世界女子カーリング選手権大会-8位
・2008年3月-第30回世界女子カーリング選手権大会-4位
・2010年2月–バンクーバー冬季オリンピック-8位(23歳)
・2010年3月-第32回世界女子カーリング選手権-11位
2回オリンピックへ参加していますが、2回ともに芳しくない結果に終わりました。
オリンピックへも2度連続出場しているのにどうしてチーム青森を辞めたのか気になりますね。まだ年齢も23歳なのに、ですよ。
表向きの理由は
本橋さんが生まれ育った北海道北見市(旧常呂郡)を拠点にして新しいチームを結成し、同郷の仲間と一緒に再出発をしたい。
との事でした。こちらは記者会見で言った言葉であるので無難な言い方に徹していましたが、その裏にはいろいろな理由があると関係者からは囁かれていました。
ではその背景にある理由とは何か?
国内ではかなりの結果を出せているのに、国際大会では刃が立たず、期待された結果を出せていない。
期待された結果とはもちろんオリンピックでの結果の事です。他にも様々な国際大会で活躍してはいますが、一般人が注目するオリンピックで結果を出さないと意味が無いと思っていたのでしょうか、それが不満となって脱退したと。このように考えられます。
さらに
チーム青森はアマチュア競技としてはかなりの援助を受けており、練習環境も十分整っているのに結果が出ない
この点もどうやら選手たちへのプレッシャーとなっていたようです。カーリングとは選手間でのコミュニケーションや連携が重視されるスポーツだけに一度ほころびが出始めると余程強固な絆でもないかぎりモチベーションは保てないのでしょう。
補欠含めて5人という少人数でやる競技ですからね。サッカーや野球のようにある程度数が多ければ多少チーム内で上手く行かなくても逃げ場はあるのですが、カーリングは逃げようにも逃げ場がないのでその辺は慎重に事を運ばないといけないのかもしれません。
あるいは強力な外敵を作るか。
ここでLS北見のメンバー紹介を一つ。
因みにLSとは、Loco Solare(ロコ・ソラーレ)の頭文字。
ロコは北見市常呂町(ところちょう)で育った人を「常呂っ子」と呼ぶ事からそのロコをとり、ソラーレはイタリア語の太陽。つまり太陽のように光り輝く常呂っ子という意味なのでしょうか。
本橋麻里(もとはしまり)
1991年5月24日生まれ
156cm
北海道北見市美山町出身
2012年一般男性と結婚。2015年第一子の男児を出産。
鈴木夕潮(すずきゆうみ)
1991年12月2日生まれ
145cm
北海道北見市常呂町
吉田夕梨花(よしだゆりか)
1993年7月7日生まれ
152cm
北海道北見市常呂町出身
吉田知那美(よしだちなみ)
1991年7月26日生まれ
157cm
北海道北見市常呂町出身
藤澤 五月(ふじさわさつき)
1991年5月24日生まれ
156cm
北海道北見市美山町出身
全員北見市出身。よくぞこれだけの選手が同一地区で揃ったものだと感心しますが、ひょっとして他の地域ではカーリングが出来る環境が整っていないせいなのかもしれないですね。
チームの和をつくるところからスタートした方が、人間としても選手としても成長できるのではと思った 記者会見より
新チームを結成しようとした一番の理由はここにありそうです。これは暗にチーム青森での不和を連想させますが、どうとでも解釈出来る言葉なのでいまいち彼女の真意は図りかねますが、要するに
自分の思い通りにやりたかった、それにはこれまでのチームの和を見直すのではなく、1から構築したほうがよりベターだと判断したからではないでしょうか。
チーム青森の初期のメンバーを見ると全員が北海道出身。しかも本橋さんを含めた3人が北見市常呂町出身者です。
北海道、特に北見市常呂町としては地元の選手が何故青森へ?という想いが強かったのではないでしょうかね。それで一念奮起して地元自治体としても予算を組んでバックアップするから地元へ帰ってきてくれと。
そのような想いを抱いた北見市とチーム青森での限界を感じたであろう本橋さんの思惑が一致して新チーム結成となった、と考えられます。
こちらは北見市にあるアドヴィックス常呂カーリングホール。元々あったカーリング専用ホール(1988年建設)を取り壊して新設されたのがこの国内最大のカーリング専用ホールです。
2013年オープン
ホールの命名権は愛知県刈谷市に本社がある、自動車のブレーキシステムを開発している株式会社アドヴィックスが取得。2015年にはアドヴィックスカップというカーリングの大会を開催しています。
その大会の後援には日本カーリング協会・北海道カーリング協会・北見市・北見市教育委員会などの名前が見られるように、各方面からの全面的なバックアップを取り付けています。
根回しは万端という事ですね。
以下にチームLS北見が銀メダルをとれたであろう理由をまとめました。
・北海道北見市にて地元出身(生活環境が似た)選手を集めた事
・自治体、各種カーリング協会、企業のバックアップの取り付けに成功
・本橋麻里さんというオリンピックへの出場経験があるスターにチームの結成を任せた
この三点が今回の銀メダル獲得に大いに貢献したのではないでしょうかね。
ただちょっと気になるのはこの体制においては今後北海道以外からのカーリング選手の呼びこみが難しくなるという点。つまり排他性を帯びるのではないかという懸念があります。
が、それも彼女らの活躍を見て今後地元から大勢の子供たちが選手を目指すという事を考えるとあまり問題にならないのかもしれませんが。
以上「LS北見が銀メダルを取った理由をさぐる」でした。