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ドラマや映画などを見ていると、顔は知っているが名前を知らない芸能人が意外と多いことに気付く。もちろん、現在売れっ子である芸能人であれば顔を見ればすぐに名前が出てくるのだが、あまり露出の多くない芸能人の場合、名前を覚えることもなく、顔だけがうっすらと記憶に残っていくようになる。
ドラマや映画に主演するような俳優の場合、若くて容姿がよく、華があり、視聴者や観客の目を惹くわけだが、肝心の演技力について言えば、実力的に物足りないことが、ままある。
それでもまだ若いうちは仕事が入ってきて人気俳優として持て囃され、全国的に顔と名前を知ってもらうことにはなる。ただ、こういう実力の伴っていない若手俳優は、人気というものは本当に水物で長くその栄華が続くことはない。
「あの人は今」的な番組にはそういった若さと勢いだけで一時代を築いた芸能人が登場し、現在の変わり果てた姿を世間に晒すという、一種の公開処刑がなされていることもある。
これに対し、顔と名前が一致しない芸能人は、なにも視聴者や観客に興味を持たれていないということではない。脇役であったり、CMで見たりということで、顔だけは意外と広く知られている場合が多い。そういった顔と名前が一致しない類の芸能人の一人として、志甫真弓子がいる。
志甫は1977年11月11日生まれで、年齢は現在41歳(ちなみに11月11日は「ポッキー&プリッツの日」)。出身は神奈川県で血液型はO型。そして、身長は163cmで、そのポッキーのようにスリムな体つきを活かし、現在はモデル業を主として活動している。
特技としては、書道や着物の着付け、乗馬などがあり、育ちの良さをそこから感じられる。顔立ちも、一見ほんわかとした中に、凛とした雰囲気が同居しており、品の良さとでも言えばいいのだろうか、モデル業にはうってつけの容姿だ。
さて、志甫真弓子と聞いて、すぐにその顔が浮かぶ人は、失礼だがそれほど多くはないだろう。しかし、「シオノギ製薬『ポポンSプラス』」や「ECCジュニア」、「セキスイハイム東海『自給自足の家 提灯アンコウ夫人』」などのCMに出ていると聞けば、「あ~、あの人」と納得するはずだ。
CMは15秒という限られた時間内で視聴者に商品をアピールしなければならず、そこには並外れた表現力が必要となる。つまりCMに度々起用されるということは、その表現力に類稀なる才能がある、
もしくは確固たる、しかも控えめな存在感があるということでもあるのだ。決して出しゃばることもなく、しかし確実に人々の記憶に残るその存在感をもってすれば、志甫が唯一無二の存在である事が理解できるかと思う。
さて、志甫はテレビへの露出が少なく、知る人ぞ知るといった存在。つまりその私生活においても、ほとんど知られていない。が、実は志甫は、阿佐ヶ谷スパイダースの中山祐一朗さんと結婚しており、男の子を一人授かっている。
そして、その中山と子供との仲睦まじい様子は志甫のインスタによくアップされている。
二人の馴れ初めは志甫が阿佐ヶ谷スパイダースの舞台「はたらくおとこ」に出演していたことがあるため、そこではないかと見るのが一般的だ。
舞台は、役者同士の真剣勝負の場。人間性の裏も表も全てさらけ出し、真正面から互いにぶつかり合うところだ。そこで志甫は、何を隠すこともない裸のままの中山という人間に惹かれ、中山もまた志甫に惹かれていったのかも知れない。
中山についてだが、こちらも志甫と同様、知る人ぞ知る存在。長塚圭史主宰の劇団「阿佐ヶ谷スパイダース」での活動が中心だが、映画やドラマでもちょくちょく見かける。
主役というのは先述の通り、若さと勢いがあれば誰でも張れるものだが、それは決して長続きするものではない。芸能界で長らく活動する人は、若さと勢いがなくても実力という絶対的なものを武器として持っているのだ。中山もその唯一無二の存在感という武器で、数多くの映画やドラマ、舞台に出演してきた。代表的なものとして、最近であれば「深夜食堂」がある。
ちょっと偏った癖のある常連客、八郎役を演じ、出演シーンは短いものの、しっかりとしたその役者としてのスタンスと存在を見る者に示している。この中山の近況や活動報告などは、ツイッターやインスタで確認できるので、興味がある方は、是非見てもらいたい。
芸能界には、名前こそそれほど知られてはいないが、圧倒的な存在感と表現力、演技力を持つツワモノはごまんといる。アイドルのように、人生のほんの一時期だけ輝くのもいいだろうが、結局は使い捨てで、やっていることは部品交換と何ら変わりはない。それよりもこの人でなければいけない、という確立したキャラクターのほうが、芸能界では、いや、どんな世界であっても重宝されるわけだ。ただ、そういったキャラクターを作り上げているのは、それまでのその人の人生であったり、思想や哲学、人生観、そして現在進行形で言えば、充実した私生活であったりする。志甫が輝き続けているのは、そういった骨太のバックボーンがあるからで、その存在感は中山と共に揺るぎないものである。